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    人類の健康寿命への挑戦

    人類の健康寿命への挑戦

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    「インナービューティ」という言葉を、ご存じだろうか? エステや美容と聞くと、美白や化粧品、美顔器といった「アウタービューティ」を中心としたサービスを想像するかもしれない。しかし、そんな世の中に一石を投じたのが、株式会社プロラボホールディングスの佐々木広行代表取締役会長だ。ハーブティーや発酵飲料を用いて体の内面、特に「腸」を整えて健康を保つというのが、同社の考え方。起業当時7000万円の詐欺に遭い、30代で糖尿病を発症……。ジェットコースターのような波瀾万丈の人生だが、現在は企業のトップとして活躍している。一体、どうやって今のポジションに至ったのか? 

    すべては、フリーペーパーから始まった

    1998年(平成10)に会社を立ち上げたと聞いていますが、どういった仕事内容だったのでしょうか?

    当時、「ケイコとマナブ」(習い事や資格取得を紹介する月刊誌)という雑誌があったのです。私は神奈川県川崎市で育ったのですが、その「東急田園都市線版」みたいな感じで、地域の幼児教室やカルチャースクール等に営業をかけていました。 新聞の折り込みチラシの形態で「この枠は5万円です。この枠は10万円です」という仕事でした。ある程度の売り上げをイメージしながらやっていたのですが、はじめの半年ぐらいは契約件数0と全く売れませんでした。 考えてみれば当たり前です。何の信用も経験もない中で、いきなりやり始めてしまったわけですから。しかし当時、通信販売の折り込みチラシが徐々に世間へ出始めてきたのです。いわゆるダイレクトレスポンスと呼ばれる広告ですね。例えば、新聞の折り込みチラシを使って、美容石けんや化粧品、健康食品を売るといった手法です。これが2000(平成12)年あたりからブームになって、仕事が大幅に増えました。 フリーペーパー、紙の広告媒体を立ち上げたのは、その後です。私の作ったチラシ広告の反響が、想像以上によかったのです。それで「あのチラシを作ったのは誰だ?」という話が出回るようになって、いろんな通販会社から「チラシを作ってくれ、作ってくれ」という依頼が殺到するようになりました。

    無添加化粧品メーカー「長寿の里」との出会い

    当時は広告媒体を経営されていたわけですが、そこからどうやって「美の道」へ進まれたのでしょうか?

    きっかけは当時、チラシでお付き合いのあった「長寿の里」という無添加化粧品メーカーさんです。同社のチラシは、私が初めて作ったのですけど、頻繁に発注をいただいて会社の業績も右肩上がりになりました。 そこから「どういうキャッチコピーで、どんなビジュアルで、どういったコンテンツが入っていると効果的なのか」ということを考え始めました。新聞の折り込みチラシを手に取ったお客さまが「この商品を買ってみたい」と感じていただける内容です。 チラシを見たお客様が実際に電話をかけて注文するためには、「コピーの大きさ」から「クリエイティブの選定」、「ストーリー性があるか」といったことが重要だと学びました。今、話題の「ライザップ」をはじめ、さまざまな広告を作りました。そんな中で、先程申し上げた「長寿の里」から連絡があったのです。同社は無添加化粧品を販売すると同時に、エステティック事業も展開していました。それで「横浜にフランチャイズ店を出したいんだけど、やってみないか?」という打診を受けたのです。 それまで広告のクライアントでもありましたし、「儲かるぞ」って言われたことが大きかったです。思い切って飛び込みました。こうして、エステティック業界に入ったわけです。今、思えば、邪心というか山っ気があったのかもしれません。

    7000万円の詐欺事件に遭遇、34歳で糖尿病発症…

    エステティック業界へと転身されたわけですが、そこからは順調に業績を伸ばしていったのでしょうか?

    エステティック事業を立ち上げて、4店舗まで拡大しました。一方で、ダイレクトレスポンス広告事業も同時並行で続けていたのです。この時期は、お金の勘定とか会社の目的は何だとかそんなこと考えずに、ひたすら働いていました。とにかく自分で仕事を取ってきて、社員も10~20人と、少しずつ増えてきたのです。 ただ、その当時は「良い会社を作ろう」という思いはありませんでした。やっぱり、子どもだったというか青かったので、よく分からずやっていました。銀行借り入れもコツを掴んで、でも、だんだん借金が膨れ上がってきて。そんな中で、全国に介護付きマンションを展開するという会社に出会ったのですけど、その会社が詐欺師だったのです。 悪いことは続くもので、ちょうど糖尿病も発症してしまいました。34歳の時です。当時は体重100キロぐらいだったと思います。暴飲暴食を続けていた結果でしょう。 そこからでした。「口の中に入れるもの=食べ物や飲み物って、大事だな……」と気付いたのは。自身で健康や美容に関する仕事をしているのに「灯台下(もと)暗し」とはこのことでしょう。エステティック事業も広告事業もたたみました。今度やる事業は「誰のために、 何のために。それだけでなく、一番になれることをやろう」と思いました。そこで、目的別ハーブティーからスタートし、発酵食品や発酵飲料へと舵を切ったわけです。

    口から腸までつながっている……だからこそ「腸活」

    そうはいっても、その分野では素人だったと思います。どうやって会社を立ち上げ、大きくしていったのでしょうか?

    「インナービューティ」という言葉は、今でこそ見聞きすることがあると思います。ところが当時は、そこまで一般的ではありませんでした。「何ぞや?」ということで、いろんな書籍を読みましたね。あとは、食事療法や腸内研究をしている医師にも話を聞いたりしました。 結局、人間をはじめとした動物は、口からモノを摂取して肛門や尿道から排泄していますよね。つまり、口から肛門までは「1本の管」なんです。その中でも重要な役割を果たしているのが、栄養を吸収する「腸=腸活」だということです。ただ、腸という「関所」は、管理が難しいとされています。だからこそ「腸活」だと考えました。 いろいろ調べて深掘りしていくうちに、ハーブティーが腸活にいいということが分かってきました。最初は3種類から始めたのですが、約300種類のハーブを集めて組み合わせて、今ではラインナップを8種類までに増やしています。ハーブティーが形になってきて、2012年頃から「国産の113種類の野菜果物を自然発酵させた発酵飲料」、俗にいう酵素ドリンクにも着手しています。保存料なしで、いわゆるヒノキの樽に住みついている微生物が自然に発酵させ、複数種類の菌の姿が残る発酵飲料です。

    日本の法律では、医療と美容というのはハッキリと区別されています。これは、もちろん分けて考えなければなければなりませんが、実際の「お客さまのニーズ」という点では、医療も美容もありません。自分の悩みを解決したいという思いだけなのです。

    インナービューティ=予防医療の領域

    現在の日本では「超高齢化社会」といわれています。また日本のみならず、世界への展開という部分では、どうお考えでしょうか?

    インナービューティというのは、つまるところ「予防医療」の領域なのです。健康寿命を伸ばしていくということです。医療も美容も、やっぱり根っこは一緒なのです。「病気になりたくない」、「少しでも若々しくいたい」といった人間の永遠の願望なのだろうと思います。 日本はもちろん、世界各国でも「健康寿命を伸ばしていこう」といわれていますが、これはまさに予防医療です。自分たちで「食事」、「睡眠」、「運動」といったセルフメディケーションをやっていこうという流れなのです。 これが弊社のミッションであり目的です。「人の想像の10倍。恩は10倍にして返す。」そのために日々、勉強しながら、インナービューティ市場を育てていきたいと思っています。

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