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2025

    創業100年。セルフケアビジネスの魁企業が描く未来

    創業100年。セルフケアビジネスの魁企業が描く未来

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    株式会社白寿生科学研究所は、電位治療器ヘルストロンや健康食品などを製造販売している健康総合企業だ。原浩之(はら・ひろゆき)代表取締役社長の祖父であり創業者でもある医学博士の原敏之(としゆき)氏が、頭痛や不眠、肩こりなどに悩まされていた母親のためにヘルストロンを開発した。この機器は現在、全国約5000施設の病院や治療院で利用されているほか、家庭用のヘルストロンを体験できる「ハクジュプラザ」を全国450カ所で展開する。本年(2025年)に創業100年を迎える同社。商品販売上の規制や経営危機など、数々の困難をどのように乗り越えてきたのか。

    急激な成長を遂げた白寿に入社。銀行マンの視点で改革を断行

    大学卒業後、都市銀行勤務を経て、白寿生科学研究所へ入社されたそうですね。入社当時は、事業規模の拡大を図るタイミングだったと思いますが、当時の会社経営はどんな状況だったのでしょうか。また、銀行員時代の経験はどのような形で生かされましたか。

    私が銀行に就職したのは、バブル崩壊後の1994(平成6)年で大変な時期だったのですが、仕事は面白かったです。担当エリアには電気街もあれば洋服屋さん、本屋さんもあり、上場企業もある。多種多様なお客様がいるので、あらゆる業種のバランスシートを目にすることができて、とても勉強になりました。取引先、融資先も200社を超え、仕事も順調。そんなときに父から、「会社に戻ってきてほしい」といわれたのです。1997(平成9)年8月のことです。

    私が銀行に勤めているあいだに白寿生科学研究所はどんどん成長を遂げていて、それまで売上げが60億、70億程度だったものが、私が呼ばれた頃には一気に150億まで膨れ上がっていた。ただしそれは、急速に体が大きくなったけど、心臓が小さくて追いつかないようなもので、会社としての統制が取れていなかった。私が会社に行ってみると、証券会社の人たちに囲まれて「事業継承しましょう」、「IPOしませんか」という感じで話が進み、結局入社することになりました。

    入社してみて、銀行での経験を踏まえて改めてうちの財務状況を見てみると、利益は出ているものの、不合理な部分や整備されていないことが、山のように出てきた。私の役目は、そうしたものを一つひとつ正していくことにあるのだと自覚しました。

    「心で売るヘルストロン」の精神から、販売ノルマを廃止。

    かつてヘルストロンの販売を代理店に任せていた時代には、代理店が本来の効能以外もあるとうたってしまい、会社としてネガティブなイメージが広まってしまったと伺っています。こうした状況をどのように払拭し、解決してこられたのでしょうか?

    弊社のヘルストロンは、1963(昭和38)年に厚生省(現・厚生労働省)から「頭痛」「肩こり」「不眠症」「慢性便秘」に対する緩解を効能として認可を受けた電位治療器です。最初はうちの独占で販売していましたが、ヘルストロンの特許が切れた1980年代前半ごろに類似商品が出回るようになり、それらが「何でも治る」「ガンも治る」といったひどい宣伝文句で売られたのです。弊社も当時は代理店さんに販売をお願いしていたのですが、中には強引な売り方をする代理店さんも多く、正確な効能・機能をお客様に伝えられていないこともわかりました。そのため悪い評判が広まっていきました。

    そこで、直営店舗での販売をメインとして、コンプライアンスを徹底する体制をつくることに力を注ぎました。認められた宣伝文句や広告表記を統一して社内に周知。各販売店での教育体制も強化しました。「心で売るのがヘルストロン」という創業以来の理念を、それぞれが胸に刻むようにしたのです。

    貴社では、社員の方たちに販売ノルマを課していないそうですね。コンプライアンス遵守のための施策のひとつだそうですが、経営者としてはとても勇気ある判断だと思います。

    販売のノルマは私が、やめさせたんです。要は「ヘルストロンは売りつけるものではない」ということです。「ハクジュプラザ」で体験していただいて効果を実感してもらい、これを継続して使えばお医者さんにかかるリスクは下がるし、医薬品や治療にお金も節約できる。将来のことを考えたら50万円という金額にも確かに価値があると、お客様がその価値を見出していくことが大切なのであって、決して押し付けるものではない、「売れば売れるほどお客様に感謝される不思議な営業」だと言い続けています。

    また我々は「ハクジュプラザ」を、単なるヘルストロンの体験・販売拠点にするのではなく、地域のコミュニティーとして利用してもらい、健康情報発信拠点にしたいと考えています。実際に行政との連携協定を結ぶことのできた自治体も増えているのですが、今後はまだまだ増やしていきたい。

    ヘルストロンを開発した創業者は、人間の体を自然な状態に保つことで健康を維持しようと考えて、「ゆとりある精神」、「適度な運動」、「バランスのとれた食事」の三位一体を「白寿の健康哲学」としていました。今では当たり前に言われていることですが、こうした健康に対する考えを地域で共有していくことが「ハクジュプラザ」の目的でもあります。実際に地域での健康リテラシーが高まれば、地域の元気になる。介護保険料も減るかもしれない。我々はそうした地域貢献型企業なのだと自負しています。社員たちにもそうしたプライドをもって働いてもらいたいと考えています。

    求める人材は「人に感謝されることに喜びを感じる人」

    社長ご自身は、どういった人材が貴社の社員としてふさわしいとお考えですか?

    経営戦略であるとか、企画立案のできる人、メディア対応の得意な人は当然必要ですし、我々は今後、海外へも展開していきたいと考えているので、外国語でのコミュニケーションに長けた人材も必要になってきます。ただし、私自身が就職活動中の学生さんたちにお話しているのは、「俺がやったんだ」、「ぼくはこれだけ稼ぎたい」、「わたしはこんなに凄いんだ!」という主張の強い人は、うちには合わない可能性があるということです。そうではなく、「君がいてくれると助かる」、「あなたがいてくれたから頑張れる」と言われて喜びを感じる人。人に感謝されることに喜びを感じる人が、うちには合っている、と伝えています。実際に、こうしたお話を聞いていただいて内定承諾を得た学生からは、ほとんど辞退者がいません。

    貴社は本年創業100年を迎えられます。今後も様々な形で事業を展開されると思いますが、現在の目標、ビジョンを教えて下さい。

    先程も申し上げた、海外展開をひとつの大きなテーマとして考えています。実はヘルストロンのような、しっかりとした効能効果が認められた家庭用の医療機器というのは、海外にはあまり例がありません。日本は健康長寿の国として知られていますから、ヘルストロンが生まれた背景であるとか、セルフヘルスケアの考え方、「介護のいらない社会をつくる」という弊社の健康に対する哲学などを、海外の方にも知ってもらいたいです。弊社の製品に限らず、トレーニング機器のEMSや美容器、マッサージチェアなど、海外の方たちに受け入れられそうな日本製品はもっとあると考えています。私は日本ホームヘルス機器協会の副会長を長く勤めさせていただいておりますので、業界全体の発展のためにも、理解と普及に勤めていきたいと考えています。

    #白寿生科学研究所#ヘルストロン#電位治療器#医療機器#メーカー#トップインタビュー

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