
人類の健康寿命への挑戦
ビジョナリー編集部 2025/04/01
4/4(金)
2025年
ビジョナリー編集部 2025/04/02
創業以来、「おいしさと健康を追求する」という精神のもと、昆布と豆の分野で国内トップシェアを誇るフジッコ。昭和35年(1960年)に零細企業としてスタートした同社は、資金もない、知名度もない創業時から、徹底した原料と製法へのこだわり、そして安全・安心な商品を届けるという信念を貫きながら、「おいしさ」や「健康」をキーワードにした数々の革新的な商品を生み出してきた。 今回、フジッコ株式会社の代表取締役社長執行役員・福井正一氏に「リーダーに必要なもの」について話を伺った。
組織というものがうまくいくかいかないかは、すべてリーダーのよしあしにかかっていると言っても過言ではありません。私の父であり、フジッコの創業者でもある山岸八郎は、今でいう『カリスマ経営者』でした。彼の存在は絶対であり、まさに有言実行の人でした。やると決めたら最後までやり抜く。その気迫や執念は、他とは一線を画すものでした。私は幼い頃から、何かを成し遂げる人とはこういうものなのだと、誰よりも近くで見て育ちました。
私は、創業者のような強烈なリーダーシップを持ち合わせていなかったのです。周囲からは『軟弱な二代目』と見られていたと思います。特に父からは『お前の欠点は優しすぎるところや』とよく言われました。本当の優しさとは、『真に相手のことを思い、またそれが組織や社会のためになる厳しさ』であると理解していても、どうしても非情になりきれなかったのです。人を納得させ、動かすにはどうすればよいのか——『リーダーに必要なものは何か』を常に模索していました。
私が事業を継承した当初、経営を支える幹部は皆、私より年上でした。さらに、社長という肩書を手にした後も、組織で働く皆さんの目は依然として会長である父の方を向いていました。そんな状況が変わったのは、父が亡くなり、私が会社の舵をいよいよ本格的に握ることになったときでした。そこで私なりに大事にしてきたことが「向き合う」という姿勢です。経営者である私自身が、社員と向き合い、対話を重ね、理解し合うことを重視してきました。しかし、言葉にするのは簡単ですが、実践するのは本当に難しい。恥ずかしながら、今も試行錯誤の連続です。
組織が大きくなるほど、経営層と現場の間に『ズレ』が生じます。そして、そのズレが次第に『対立』へと発展することも少なくありません。その背景には、日頃からのコミュニケーションの不足や行き違いがあると感じています。経営層は組織の未来を見据え、法律や規則に基づいて正しさや効率性を重視しがちです。一方で、現場は目の前の業務遂行が最優先となります。たとえ経営層のメッセージが正しいものでも、現場にとっては、頭では理解できてもなかなかすんなりとは受け入れづらいことが多いのが実情だと思います。
だからこそ、私は『理屈だけでは人は動かせない』という現実を受け入れた上で、社員一人ひとりに向き合い続ける覚悟を持つことが必要だと考えています。自分の想いを伝え、理解してもらうにはどうすればよいのか——それを考え続けることが、リーダーに求められる『修行』なのかもしれません。
(後編へ続く)